江國香織さんの作品で一番好きなのは『ホテル カクタス』だ。ここには不倫中の女の子も、恋をしている青年も、少し疲れた夫婦も出てこない。そもそも主な登場人物が数字の2ときゅうりと帽子なのだ。なんだ、子供向けのお話なの?なんて思わないで、とにかく読んでみて欲しい。
優柔不断な数字の2、いつも元気なきゅうり、そして人生経験豊富な帽子。アパート「ホテル カクタス」の住人である、とても人間臭いこの三人。ふとしたきっかけで知り合い、友情を深めていく中で起こる出来事ひとつひとつに、読者はくすりと笑ったり、ホロリとしたり・・・。
描かれているのは確かにささやかで、日常的で、どこにでもあるような話かもしれない(たとえ主人公がきゅうりだとしても)。しかし、そのような日常の中にこそ、本当に大事なことがひそんでいるのではないかと思わせる一冊。とてもいい作品です。
出版社:集英社書名:ホテル カクタス著者:江國香織定価:540円(税込み)
(リブロ福岡西新店 奥原未樹子)
売れ筋の本からマニアックな専門書まで、本のことを知り尽くしている書店員さんがオススメの本を紹介する読書日記。書評だけでなく、時には誰も知らない書店の裏話などが聞けることも!?読書好きな人必見のブログです。