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『文藝』2006年冬号

2006年11月 6日

Photo_138  今回は、今月これだけは絶対に買った方がいいと思う雑誌をご紹介します。その雑誌とは、今月初めに発売になった『文藝』2006年冬号です。

 今号は、河出書房新社が主宰する新人賞「文藝賞」の発表号で、もちろん私も受賞作読みたさに本誌を手に入れたのですが、受賞作よりも何よりも、綿矢りさの芥川賞受賞第一作『夢を与える』に度肝を抜かれました。

 読み終わってすぐ、綿矢りさがすごい小説を書いてしまった!と、周りの本好きの友人達に吹聴しまくったほどです。

 『夢を与える』は、幼い頃から“普通の女の子に近いタレント”として活動している夕子という女の子が主人公です。夕子が高校入学と同時に芸能界で大ブレイクし、失脚するまでが描かれています。

 夕子の中で、少しずつ歯車が狂っていく過程にぐいぐいと引き込まれます。

 特に印象的なのは、「夢を与える」という言葉について夕子が自分の考えを示す場面です。

 ラストも救いようがなく、「夢を与えるってこういうことなのか!」と、泣きたいような、叫びたいような気持ちになるのですが、その反面、主人公の潔さにある種の清々しささえ感じさせる、アンビバレントな力のある作品です。

 『文藝』今号は、伊藤たかみと山田詠美、劇団ひとりとの対談が掲載されていたり、山崎ナオコーラの短編もすばらしかったり、と1,200円では安すぎるのではないかと思われる充実度です。小説好きの方は、この1冊があれば当分読むものに困らないと思います。

 満足度120%、★★★★★(五つ星)です。

出版社:河出書房新社
書名:文藝2006年冬号
定価:1,200円(税込み)

(有隣堂藤沢店 加藤泉)

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