その日の品出しの終わった空っぽのブックトラックに、ポツンと一冊の写真集が置かれていた。きっと別のジャンルのブックトラックにでも紛れ込んでいたのだろう、と思いながら本を開いてみた。
引き込まれてしまった。いや、むしろ溶け込んでしまったというべきか。
遠く隔てられた場所の風景であるはずなのに、その場に居合わせているような感覚。馴染みのない場所に親しみと懐かしささえ感じられる。
なぜだろう。そう、子供の頃、ちょっとした拍子に無性にどこかへ行きたいという衝動に駆られることがあった。その時に思い描いた場所の空気がそこにあるのだ。どこにでも行けるような、どこまでも飛べるような、そしてちょっと切なくなるような空気。中でも「僕は自転車で空を飛ぶ」にはその空気が満ち満ちている。
長い間忘れていたこの感覚。そして久しぶりに「出会った」と思える一冊だった。
出版社:東方出版書名:大地の詩 旅の絵本2著者:白川由紀定価:1,260円(税込み)
(リブロ金沢店 乙丸唯)
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