街がイルミネーションに彩られるこの時季になると、毎年、1年間に読んだ本を振り返ることにしています。
今年も“この作家に出会えて良かったな”と思う作家は多いですが、その中でも、高野秀行の作品に出会えたことは、とても幸せなことだと思っています。
高野秀行の名前を知ったのは、今年の半ば頃、知り合いの某出版社の営業の方が『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)を絶賛していたからです。
ちょうどその頃、『アジア新聞屋台村』(集英社)が新刊として刊行されていたばかりだったので、私はこちらを先に読んだのですが、これがとにかく面白くて一気に読んでしまいました。これほどパワーがあって、エキセントリックで、しかも読み手の心の琴線に触れるツボを押さえた書き手がいたのか、と正直言って驚きました。
「バカになりきれる賢さ」を持った作家だと思いました。
今回ご紹介したいのは、季刊「旅行人」2006年秋号に掲載された高野秀行の短文、「60年目の詐欺」です。
著者が10年以上前にバンコクで遭遇した詐欺のことが書かれているのですが、最後のパラグラフを読んで、“ああ、この人のものの考え方は好きだなあ”としみじみ思いました。未読の方のためにあまりネタバラシはできませんので、高野ワールド未体験の方は、是非この記事からでも読み始めていただきたいと思います。
この作家の人間としての魅力に、必ずや引き込まれることでしょう。
出版社:旅行人書名:「旅行人」2006年秋号定価:1,029円(税込み)
(有隣堂藤沢店 加藤泉)
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