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「もし世の中に絶望したときがあったならば、子供に語るものを書きなさい」――上原専祿のものとして伊東光晴氏が伝える、重みのある言葉である(ちくま文庫『君たちの生きる社会』文庫版あとがき)。
ここでいう「子供」とは、広く「次の世代」「将来の担い手」といってよいだろう。
最近、いわゆる児童書出版社が手がけるやや「硬派」なシリーズ物などを見るにつけ、次の世代に希望をつなぐ営みの尊さ・力強さを思う。
松岡正剛さんの新刊を読み、真っ先に思ったのは上原のこの言葉であった。
この本は、松岡さんが行った帝塚山学院大学での一年生むけの講義をもとにしたものである。まさに「次の世代」に何かを伝えようとする営みの、ナマの記録といえよう。
語りをベースにしているため、大変に読みやすいのだが、内容は驚くほど濃い。
何せ世界の宗教、哲学、芸術、歴史を縦横無尽に語っていくのである。ゾロアスター教から「たらこスパゲッティ」まで一冊でフォローする本などまず他にあるまい(なぜ「たらこスパゲッティ」なのかは読んでからのお楽しみ)。
しかし、これはただ博覧強記を誇るような本ではない。そこには「編集」という方法が明確にあり、日本を世界との関係性の中で見ていこうとする強い問題意識がある。
幅広い知識に圧倒されながらも、読み進めていくうちに、例えば今、この日本においてなぜパスカルを知ることが必要なのかが分かっていく。
この著者にしてはじめて為せる業といえよう。
「17歳のため」と銘打ってはいるが、17歳の人だけに読んでもらうには余りにもったいない。
知的興奮を求める全ての人に読んで欲しい一冊である。
出版社:春秋社 書名:17歳のための世界と日本の見方 著者:松岡正剛 定価:1,785円(税込み)
(紀伊國屋書店新宿本店 大籔宏一)
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