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先日、第136回直木賞が発表になりました。
残念ながら受賞は逃したものの、候補作の中に是非お薦めしたい小説があります。
その小説とは、池井戸潤『空飛ぶタイヤ』(実業之日本社)です。
数年前、走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者を死なせてしまった事故がありました。
「本作品はフィクションであり、実在の個人・団体・事件とはいっさい関係ありません」と巻末に明記してはあるものの、本書がこの事件をモデルにしたことは間違いないでしょう。
被害者側ではなく、加害者側で何が起きていたのかを描いた小説です。
本書の魅力の一つに、不条理と闘う男達の気高さが挙げられます。
苦境に立たされ、自分の手で真相を究明しようとする運送会社の社長。
内部告発を断行する製造元の販売部の社員。
製造元への融資に難色を示す同グループの銀行員。
自らの非を認め、製造元への捜査に乗り出す刑事。
誰を主人公にしても、『プロジェクトX』が1編完成するほどです。
「どんな組織だって、誰かがいわなきゃ動かない」
「会社が本当の終焉を迎えるのは、金がなくなったときでなく人がいなくなったときだ」
「自社に都合の悪いことは、隠蔽するのではなく、むしろ明らかにしていくことでしか顧客の信頼をつなぎとめることはできないのだ」
本書は、全てのサラリーマンに手向けられたような格言に満ちています。この本を読めば、お腹の底から働く力が漲ってくるはずです。
出版社:実業之日本社 書名:空飛ぶタイヤ 著者:池井戸潤 定価:1,995円(税込み)
(有隣堂藤沢店 加藤泉)
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