星野道夫がカムチャッカ半島でヒグマに襲われ、亡くなってから早いもので、もう10年以上経つ。しかし、星野道夫の歩いた跡はまだ消えていない。
いや、むしろよりくっきりと鮮明に残り、後に続くものへの道標となっている。星野道夫の遺したもの。それはかれの撮った写真を見れば自ずと気づくだろう。それは、現代人が忘れて久しい、自然や動物たちとの関係性であったり距離感であったりする。
かれの写真には大地への敬意と、動物たちへの仲間としての慈しみに満ちている。現代風の「優しい」という人間的な感傷ではなく、厳しさも残酷さも知りながら、だからこそ共に生きているという思い。それゆえの誠実さ。
星野道夫の好きな詩がある。その一節。「なりたいと思えば人は動物になれたし動物は人にもなれた」。巻末の写真で星野道夫はにっこりと笑っている。ほんとに穏やかに純粋な目で。
(リブロ金沢店 乙丸唯)
出版社:スイッチ・パブリッシング書名:表現者 著者:星野道夫定価:3,360円(税込み)
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