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Usagipf_3  中村うさぎさん  作家
なかむら・うさぎ=コピーライターを経て作家デビュー。著書に「犬女(文藝春秋)」「愛と資本主義(新潮社)」など。「ショッピングの女王」をはじめ、実体験を赤裸々につづるエッセイストとしても注目される。

 森見登美彦という人の『新釈 走れメロス』(祥伝社)を読んだ。あの太宰治の名作(←私は嫌いだけどね)『走れメロス』を始め、中島敦の『山月記』、芥川龍之介の『藪の中』、坂口安吾の『桜の森の満開の下』、森鴎外の『百物語』といった超有名作品を下敷きに、魑魅魍魎(ちみもうりょう)のごときヘンテコな京大生たちの意味不明なる跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)を描いた短編連作集だ。

 結論から言うと、すっげぇ面白かった。それぞれの原作の持ち味をうまく生かしつつ、何ともいえない哀しみを滲ませた滑稽(こっけい)極まりない物語に描き換えていく、その見事な手腕に舌を巻いた。

 すごい作家がいるもんだなぁ、と感心しつつ、そのプロフィールを見ると、なんと私よりも20歳も年下の若造(失礼!)で、かなりムッとした。私は「才能ある若者」が大嫌いだ。ちくしょう。早死にしてしまえ!

 というのは冗談ではなく本音なのだが、これは同時に、私の最大級の褒め言葉なのだ。私に「早死にしろ」と呪詛(じゅそ)された物書きは、たいてい、天才である。そして、この森見登美彦という人は、今年初めて、私が「早死にしろ」と心の底から思った作家だ。

 まぁ、私なんかに褒められたところで、彼は嬉しくも何ともないだろうとは思うが、己に才能がないからこそ他人の才能に敏感な人間というのは存在するのである。それが私なんですけどね。いや、とにかく面白かったので、皆さん、読んでください。

Photo_371出版社:祥伝社
書名:新釈 走れメロス
著者:森見登美彦
定価:1,470円(税込み)

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