「地域に開かれた学校」といった表現が用いられることがよくある。地域コミュニティの中で学校が積極的に様々な役割を果たしていこうという試みは各地で行われていることだろう。
が、大学で、となるとどうだろう。小・中学校と違って学生も多いし、必ずしも学生が近くに住んでいるわけでもない。いろいろな困難が予想されるが、その困難に果敢に挑戦した記録が本書である。
読売新聞社立川支局と一橋大学社会学部が共催した、約1年にわたる連続市民講座の講義がまとめられているのだが、このような試みが実践され、かつ成功をおさめたことがすばらしい。国立周辺の地域性も大いに関係していることと思うが、新聞社の企画力と大学の熱意、学ぼうとする市民の意欲が三位一体となってはじめて為しうることであろう。「学ぶ」という営みのもつ力強さを改めて感じさせる。
取り上げられたテーマは実に多彩。雇用平等、エコロジー、スポーツ、まちづくり……。それぞれの講義内容はコンパクトだが、内容は充実。この一冊でいわゆる「現代社会」のありようが浮かび上がってくる絶好のテキストとなっている。老若問わず「学ぶ」気持ちのある人すべてに一読いただきたい。
出版社:旬報社書名:「現代」という環境 10のキーワードから著者:渡辺雅男、渡辺治定価:1,575円(税込み)
(紀伊國屋書店新宿本店 大籔宏一)
売れ筋の本からマニアックな専門書まで、本のことを知り尽くしている書店員さんがオススメの本を紹介する読書日記。書評だけでなく、時には誰も知らない書店の裏話などが聞けることも!?読書好きな人必見のブログです。
眞鍋かをりさんや泉麻人さんのブログも公開中