アンリ・カルティエ=ブレッソンを語る上で、「決定的瞬間」という言葉を抜きに語ることはできない。絶えず変化する日常と内なるイメージが交わる一瞬、そのまさに「決定的瞬間」をカルティエ=ブレッソンは絶妙に写真におさめ続けた。
そしてまた、「決定的瞬間」をさらにそうたらしめているのが、その構図の美しさと完璧さだろう。それ故、その写真は写されたというよりも、切り取られたと言ったほうが合っている。そう、切り取られたがゆえにいつでも写真はリアルであり、その中では今も「その時」が続いている。その魅力についつい引き込まれ時間を忘れて見入ってしまう。
ただただ唸るしかなかったり、ついニヤリとしたり、はたまた無心にスーッと眺めたり。楽しみ方はいくらでもあるようだ。それもこれもカルティエ=ブレッソンの向ける眼差しが、真摯で冷静だからだろう。それが見るものそれぞれにドラマを用意してくれる。
(リブロ金沢店 乙丸唯)
出版社:岩波書店書名:ポートレイト 内なる静寂写真:アンリ・カルティエ=ブレッソン定価:5,250円(税込み)
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