なぜ酒を飲むのかとの問いに、「”会話の法悦”を味わうため」と答えた人がいた。
酒の席で「法悦」とでも表現してみたくなる瞬間が訪れることは確かにある。
単に会話が弾むというのではない。アルコールが頭の回転を速めるのか、はたまた緩めるのか。いずれにしてもその回転の歯車が同席者の間でピタリと合って、会話をすることが文字通りの「快感」になるような状態だ。
いつもそうなるわけではない。むしろ、めったにそういうことは起こらない。しかし、いわれてみれば、酒を愛する人は、あるいは酒席を愛する人は、稀に訪れるそんな瞬間をこそ愛しているのかもしれない。
で、この本!
「集団的押し掛けインタビュー」というサブタイトルがついたこの本には、そういう小さな奇跡のような瞬間がいっぱい詰まっている。「インタビュー」する側もされる側も、実に楽しそうに酒を飲んでいる様子が、ビシビシと伝わってくる。
2002年10月の創刊以来の5年間で(この記事がupされるころには)ようやく10号目が出ようかという、知る人ぞ知る雑誌『酒のつまみ』の、名物連載企画をまとめたものだが、こうしてまとまってみるとすごい顔ぶれだ。
第1回のなかじまらもさんに始まって、井崎脩五郎さん、蝶野正洋さん、みうらじゅんさん、高田渡さん。いずれも酒飲みの心をくすぐる(?)酒豪ぞろい。
しかも、といったら不謹慎だが、そのうち2人が雑誌掲載時から単行本発刊までの間に、この世を去っている。
その5人と奇跡のような時間を共有した「酒とつまみ編集部」の面々を、心の底からうらやみつつ、グラス片手に読み返したくなる本。
出版社:大竹編集企画事務所書名:酔客万来著者:酒とつまみ編集部編定価:1,680円(税込み)
(ときわ書房新松戸店 近藤隆)
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