今日も全国の其処彼処で、作家や評論家の先生方の講演会が行なわれているでしょう。
多くは自治体の文化事業の一環であったり、地元の経営者団体などの記念行事で、悪く言えば、困った時の講演会、とばかりの安易な企画と言えないこともありませんが。 とは言え、主催者側としては、配慮があって、それなりのネームバリューのある人や、その時々の話題の人物が呼ばれてきますので、聴講者にとっては一見一聴の価値ありとなりましょうか。
最近、地元で行なわれた講演会で好対照の二題をご紹介いたしましょう。
ひとつは、高崎青年経営者協会主催の、『俺がつくる!』(中経出版)がベストセラーになった、あの町工場の代表社員の岡野雅行さん。ものつくりの裏話は興味が尽きない面白さに溢れたもので、かの有名な、刺しても痛くない注射針のエピソードは驚くことの連続でした。
もうひとつは、前橋文学館が「朔太郎とデザイン」という展覧会と連動させて開催した、吉増剛造・萩原朔美両氏の対談。映像という切り口で萩原朔太郎に迫ろうという試みで、目玉は、実際に上映されたお二人の映像作品。特に吉増氏は言葉を操る詩人による映像作品。下手をするとケレンと取られかねない危険がありますが、そこはそれ。素人とは違うものを感じさせます。
岡野さんと吉増・萩原両氏。色合いは全く違うのですが、共通しているのは、何れも一家言があり、そのことに自信があり、ものの見方がユニークで面白く説得力があると言うことでしょうか。
書かれたものを読むのも良いですが、話を聴く、これも楽しいものです。
(煥乎堂書店 黄木宣夫)
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