鈴木光司さん <作家>すずき・こうじ=『楽園』で作家デビュー。『リング』シリーズが計800万部のベストセラーとなり、ハリウッドで映画化。欧米を中心に講演活動を行うほか、政府の諮問機関「少子化への対応を促進する国民会議」委員を務める。著作が世界20ヶ国語に訳されている。最新刊『なぜ勉強するのか』(ソフトバンククリエイティブ)
10年前、読売新聞に連載されたとき、フランクというアメリカ人が起こす大量殺戮(さつりく)の生々しい描写が話題になった作品である。神戸で起こった少年の事件と時期的に重なったこともあって、大反響を巻き起こした。
村上龍はいつも目のつけどころが素晴らしい。どうしてこんなにおもしろいことを思いつくのかと、感心してしまう。ぼくにとって、「読む価値のある作家」のひとりだ。
ところが、出だしは最高なのに、大長編となると途中で息切れが見えてくることがたまにある。自伝的エッセイか何かで、「体育の授業で長距離走を完走したことがない」と書いていたのを思い出してしまう。
『イン ザ・ミソスープ』はほどよい分量で、最初から最期までスリリング、緊張感を保ち続けている。ラストでようやくタイトルにあるミソスープの意味が解ける。
そして、「日本人はぬるま湯につかっている」「日本人は、自分たちを殺すために外部からだれかがやってくるという危機感を持ったことがない」というテーマは、『半島を出よ』に引き継がれていく。
出版社:幻冬舎書名:イン ザ・ミソスープ著者:村上龍定価:560円(税込み)
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