ドラマ化の影響で、『有閑倶楽部』の売れ行きが好調だが、一条ゆかりのアクション物に興味を持たれた方に、ぜひ読んで頂きたい作品がある。それは、『有閑倶楽部』の前身とも言うべき『こいきな奴ら』である。
両親を事故で亡くした双子の兄妹が、盗っ人と殺し屋の2人とチームを組み、様々な陰謀に立ち向かう・・・事件に遭遇し、解決へと奔走する構成、加えてシリーズ物という点も『有閑倶楽部』と同じだ。また、主要キャラの「人数」こそ違うが、「設定」の共通点も見られる。『有閑倶楽部』といえばセレブ生徒会の印象が強烈だが、『こいきな奴ら』の主人公の双子の兄妹もフランス貴族の大金持ち。
妹が可愛い顔をして武芸の達人というのも、財閥令嬢・剣菱悠理を彷彿とさせる。(悠理よりは、品性の面で格上)ちなみに兄は天才的なカンを持ち、ナイフ投げの名人。事件の真相を暴く知性にも長けている。このように、双子だけでも一筋縄でいかないのに、更に前述の2名が仲間になったことで、まさに「無敵」である。彼らの大暴れが痛快でないわけがない。
舞台が海外ということもあって、敵のスケールも半端無し。エスパーを軍事利用しようと暗躍するMI6(英国軍事情報部)にKGB(ソ連国家保安委員会)、政財界のトップを洗脳し、再建を画策するナチスの残党。そんな強大な相手との格闘を描いているのに、いずれも100ページ前後で見事に起承転結させているから恐れ入る。無駄の無い筋書きの中にも、迫力のアクションシーンが強烈なアクセントを与え、ゴージャスなセレブの世界観に相応しく、精緻を極めたファッション・背景描写が華を添えている。そして、こんなにも派手なのに、「こいき(小粋)」なんて題名なのも心憎い!
シリーズ第1作は約30年前に描かれており、これは私の生まれる前(!)である。いまだ現役の著者のセンスとバイタリティに敬服しつつ、いつか続編を・・・などと夢見る次第だ。
出版社:集英社書名:こいきな奴ら著者:一条ゆかり 定価:610円(税込み)
(紀伊國屋書店神戸店 浜崎旭)
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