本屋さんへ行こう!

書店員のオススメ読書日記

本文です
前の記事

 彩乃ちゃん。一見ふつうの小学5年生だが、彼女にはふしぎな力がある。「教主さま」としての力、ちょっとした未来を見通す力。彩乃ちゃんはその力で周りの人に幸せを振りまいていく。

Photo  「英輔との結婚は悪くない。ただ他の道だってあるんじゃないか・・・ぴかりと光っている道があればいいのに。」3年付き合った彼との結婚を前に迷う、智佳子。

 「ただ時を無駄にしているだけではないのか。あるいは逃避なのではないか。」大学受験を控えた高校3年の夏、土中に埋もれた石階段を掘り起こしつづける、徹平。

 「わたしは、前ほどお父さんのことが好きじゃない。お父さんと一緒にいると、苛々することが増えてきた。」家では両親の不仲に心を痛め、学校ではクラスメートに馴染めずにいる佳奈。

 そんな3人の背中を、彩乃ちゃんはそっと押してあげる。そう、ほんのちょっと。幸せの方へ。

 勿論、現実を生きる僕らにこんな「お告げ」は期待できない。でも、ちょっとした一言、僅かなきっかけから、僕らの日々は確かに変わっていく。そう考えると、世の中は「お告げ」に満ちているのかもしれない。幸せになるか不幸になるかは別として。

 ちなみに「お告げ」というタイトルを見た時、僕はまず胡散臭いと思ったものだ。橋本さんの作品と気づかなかったら、そのままページをめくることはなかったのかもしれない。

 橋本紡作品との出会いは、2006年刊の『流れ星が消えないうちに』に遡る。同僚3人で酒を飲んでいて、そのうちの1人がこう言ったのだ。「君たちも『流れ星』を読んで、心を洗い流したほうがいいよ」と。以来、僕は橋本さんの著作を追いかけている。考えてみれば、あれも「お告げ」の一種だったのかもしれない(笑)

出版社:講談社
書名:彩乃ちゃんのお告げ
著者:橋本紡
定価:1,470円(税込み) 

(紀伊國屋書店新宿本店 吉野裕司)

前の記事

当ブログの記事へリンクを張った方はトラックバックをどうぞ。ただし、当ブログの編集スタッフによって事前に確認した後で掲載します。基準は<トラックバックに関する編集方針>をお読み下さい。

売れ筋の本からマニアックな専門書まで、本のことを知り尽くしている書店員さんがオススメの本を紹介する読書日記。書評だけでなく、時には誰も知らない書店の裏話などが聞けることも!?読書好きな人必見のブログです。

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29