鈴木光司さん <作家>すずき・こうじ=『楽園』で作家デビュー。『リング』シリーズが計800万部のベストセラーとなり、ハリウッドで映画化。欧米を中心に講演活動を行うほか、政府の諮問機関「少子化への対応を促進する国民会議」委員を務める。著作が世界20ヶ国語に訳されている。最新刊『なぜ勉強するのか』(ソフトバンククリエイティブ)
大正初期の貴族社会を舞台に、侯爵家子息と伯爵家令嬢の禁断の恋を、絢爛(けんらん)たる文章で描いている。
三島由紀夫が自決する直前に書き上げた長編小説『豊穣の海』の第1部に位置づけられ、その後の展開への伏線を多分に含んでいるが、物語性に富んだ端正な恋愛(悲恋)ロマンスであり、単体として充分おもしろく読める。
ときどき三島由紀夫の小説を読みたくなるのは、彼の文章の緻密(ちみつ)さに触れたくなるからだ。三島は、思考力と想像力とのねちねちとした絡み合いによって、意識の底から浮上させるような文章を書く。
まちがいなく頭がいいのだ。緻密な思考力に支えられた文章を読むのは、それだけで快感である。
出版社:新潮社書名:春の雪著者:三島由紀夫定価:660円(税込み)
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