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書店員のオススメ読書日記

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Photo 江戸時代の人々は妖怪、幽霊の類を本当に信じていたのではないか。

逸話の数々を見ても、知識人、文人が真面目に議論しているし、武家の世界でも狐憑きにあって御家断絶とか、江戸城内で急におかしくなって相手を斬りつけて切腹したとか、ままあったようである。

 見えないものを見たのか、見てしまったのか、はたまた、そそのかされてしまったのか?化学、科学など発達していない分、その様な事が信じられていたと思う。

 で、様々な実例が載っている「江戸の怪奇譚」(氏家幹人・講談社)。好著であります。御興味がある方は御読み頂きたい。

 いまさら畠中恵を紹介するのも何ですが、「しゃばけ」の人である。妖怪の使い手である。題名の名人でもある。「ぬしさまへ」「ちんぷんかんぷん」「まんまこと」…、ひらがなの妖術である。

 そして心化粧と書いて「こころげそう」。口にはいわないが内心恋焦がれるということ。

 本書は江戸に住む幼馴染の男女九人の恋模様を描いた青春小説である。と、ただ書けば普通であるが、ここに幽霊がでるからいつもの畠中ワールドである。

 岡っ引見習いの宇多と、不慮の事故で亡くなり生前死後とも宇多が慕っている於ふじの幽霊、その父由紀兵衛との三人の秘め事から物語は進んで行く。

 成人して暮らし向きも立場も違う九人の心の綾は、ほぐそうとしてもほぐれず、惚れた腫れたで流れて行く。

 また男の首筋にひやりとする言葉も、多いこと多いこと。

 「何事も己一人で納得して、きちんと説明することを面倒くさがる。時々腹が立って仕方のない生き物に思えてくる。それが男であった。」(『幼なじみ』)ごもっとも。「男の人って、時々こっちが戸惑うくらい鈍いときがあるから。」(『八卦置き』)そんなものなんでしょうねえ…。

 そういえば「片想い しばらくたてば 恋のうち」とは誰がいったのだろうか。

出版社:光文社
書名:こころげそう
著者:畠中恵
定価:1,575円(税込み)

(大盛堂書店 山本亮)

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