本屋のお給料は安い。働けど働けどわが暮らし楽にならざりぢっと手をみる日々を送っていると、働くことの意味を見失って、ああ、もう嫌だ!なんて気分になることがある。
働くことは食べるため、食べることは生きること、そんなシンプルなことを忘れがちになる。『三日月』はひたすら働く女子たちの3編の物語。ニート脱出をはかるべくケーキ工場で働くせり、担任の心無いひと言で登校拒否、父親のチョコレート工場で働くルリ、高校中退、過干渉の母から逃げる為にやっぱり工場で働く涼子。
3人ともじつによく働く。そして、みな口が悪い。どの話にもいじわるな同僚や理解あるものの少々風変わりな上司がでてくるのだが、彼女たちとの悪口合戦は決して陰湿でなくからっとしていて、声をあげて笑ってしまう。
DEATH NOTEやハチロク、MILKのワンピなどなど現代風俗がたくさんでてきて、軽妙な会話で物語が進む『三日月』には、純文学みたいな重厚感てのはないかもしれない。でも、ポップで笑えて、そして何より働くことの本質をついているんじゃないかと思う。きっと働くってのは楽しいことだ。そう信じて、書店員の私は今日も本を売るのです。
(リブロ東池袋店 佐藤裕香)
出版社:講談社書 名:『三日月』著 者:宮崎誉子定 価:1,890円(税込み)
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