マンガ好きを称しながらこれを読んでいない友人が多いので、最近薦め歩いている作品。たいていがタイトルに驚く。オタクっぽい絵にちょっと引く。それでも読み終わると大興奮で感想をよこしてくる。ふふ、そうそう、この本はぱっと見の印象からは想像できないほどシリアスな仏教と家督と恋愛の物語なんだよな。
大家族の貧しさに耐えつつ明るくけなげに暮らす主人公のめぐり。進学する経済的余裕はなく就職も決まらず…、そんなとき薦められたのが寺の跡取り息子・信玄との結婚だった。明るく働き者のめぐりは、姑や檀家から認められ、生まれて初めて自分の居場所を得たと感じていた。ところが信玄は結婚後まもなく事故で命を落としてしまい…。
寺がいくら稼いでいても、寺は法人のものだ。跡継ぎを残さない女には金は一銭も出せない。めぐりが寺に居続けるためには、新しい跡取りと結婚するしかないのだ。働き者のめぐりを寺から追い出したくない檀家筋は、新しい寺の跡取りとめぐりを結婚させようとする。候補は、寺の次男・一円、直弟子・恵春、檀家総代が跡継ぎ候補として送り込んできた元在家の僧・慈恩、の三人。
無知で幼いと思われた主人公めぐりは、「寺にいられるなら誰とでも結婚してもいい」と恐ろしいほど経済的な選択をしようとする。寺の次男一円と結婚して跡を継げば簡単なのだが、理想の仏教を追う若すぎる彼は生きにくい。寺に莫大な利権の前にも清貧を貫いていた恵春、彼のささやかな恋の欲に狂わされる。寺を乗っ取るかのように登場した慈恩は、上手く人心をコントロールし誰よりも寺に利益を生むようだが…。
何かを(他人を、信仰を、信念を)大切に思うと生まれるエゴ。恋愛の絡んだエンターテイメントで魅せながら、人間の醜さ・痛さを描く作者のきづきあきら+サトウナンキの手腕にうなる。この作家、これまでは連載中に出版社の倒産にあったりと不遇の環境にいたけれど、2009年5月号の「IKKI」(小学館)で新しく連載を持ち始めた。2009年はもっと注目が集まればいいなぁと思う。
(リブロ港北東急SC店 藤原美紗子)
出版社:幻冬舎書 名:まんまんちゃん、あん。(全3巻)著 者:きづきあきら+サトウナンキ定 価:各620円(税込み)
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