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「わくらばシリーズ」は、“人”や“物”をじっと見つめていると、その“人”の過去や“物”にかかわった人の姿がワンシーンのように浮かびあがってくる「不思議な力」、透視能力を持つ美少女鈴音と、その妹で天真爛漫なワッコちゃんこと和歌子の姉妹が遭遇する昭和の事件簿物語です。
前作『わくらば日記』は、昭和の時代に起こったいろいろな事件にからめて、鈴音の「不思議な力」を使って、姉妹が事件を解決していくというお話でした。
ストーリーテイラーとして抜群の直木賞作家朱川湊人さんの文章も面白いのですが、レトロなもの、昭和の匂いがするものが大好きな人達にぜひ読んでほしい一冊です。
昭和の時代に生きてきた人達には何とも懐かしい香りがしますし、もちろん平成生まれの若い世代にもおすすめです。
二作目にあたるこの作品では、鈴音のライバルにあたる御堂吹雪という黒ずくめの謎の女が登場します。
鈴音と同じ「不思議な力」を持つこの女は、その力を悪いことに使います。
二の腕にダッコちゃん(昭和の時代、大流行したビニール人形)をつけて、登場するところなど、私には大ウケでした。
私は昭和40年代の子供時代を過ごしたせいか、とても懐かしい気持ちになりました。
また、日本が戦後四半世紀の月日を経て本当に立ち直ろうとしていた頃で、同時に社会が生きることに前向きで人情にあふれ、優しさに満ちていて、家族や兄弟や友人や隣人がもっともっと近くにいた記憶の中の一番いい時代だったのだあと感じました。
そして読んでいて、久しぶりにとても楽しく感じました。一番大好きな時代背景のこんなに面白い物語を読んで、自分自身の中の“本を読む楽しさ”を再発見したのです。
自分も目をじっと細めて鈴音のように透視できないかなと思ってみたり、(お話には関係ないのですが、なぜか“スプーン曲げ”にも、ひさびさに挑戦!)、姉妹がいたら貧しくても、たまにはジャムつきの食パンを買っておしゃべりしながら食べるのかな?なんて思ってみたり。
楽しい物語に出会うと、小学六年生までランドセルを背負いながら「登下校まで、歩きながら」読むことに夢中だった自分を思い出します。
歴史の教科書では教えてくれないこの時代の普通の人々の生活も垣間見えて、悲しい事件も起こるけれども、母さま、鈴音・ワッコちゃん姉妹、友人の茜ちゃんの活躍に胸躍らせながら、三作目を楽しみに待つことにしようと思いました。
出版社:角川書店 書名:わくらば追慕抄 著者:朱川湊人 定価:1,785円(税込)
(有隣堂ルミネ横浜店 佐伯敦子)
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