書店に置いてある本に挟んである注文カード(スリップ)。頭のところに商品のジャンルが書いてあることがある。この『介護労働を生きる』の場合、まず「社会」とあり、その下に「介護労働・貧困」とある。介護と貧困があたりまえのように並んでいるのにすこし戦慄する。
書店で棚を作っていても、昔は別々の場所に問題なく分けて置いていたはずの介護やケアに関する本と格差問題や労働問題に関する本は、現在確かに親和性が高く、なるべく近い位置で展開しなければならないと思っている。
本文中に印象的な言葉がある。「なぜ介護労働者は労働運動ができないのか」という問いだ。介護の現場で働く労働者にはこのような問いを持つことすら難しいと著者は感じているようだ。低賃金で夜勤を含む激務。衛生状況は悪く、利用者の命の危険を感じる緊張感。離職率も高く職員どうしの軋轢も多いこんな環境でひとりきりで働いているとしたら。熱心で自己犠牲的な彼らのメンタリティは、ただ利用者に向けられており、自身の権利を守ろうとしない危うさをもっている。
この本は、派遣ヘルパーとして介護現場で著者が実際に働き、また介護労働者にじかにインタビューをとったルポルタージュだ。介護労働の現状への怒りと、そんな環境を改善しようと行動した人たちの希望とが、直截的に書かれている。たった一人で働いていると感じる介護労働者が仲間を見つけられる本として、そして彼らの蒙を啓くような本として、おおいに参照されるべきだと思った。
(リブロ港北東急SC店 藤原美紗子)
出版社:現代書館書 名:介護労働を生きる著 者:白崎朝子定 価:1,680円(税込み)
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