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書店員のオススメ読書日記

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Vernacular_2 「ヴァナキュラー」とは風土、地域性という意味を表す。

 写真家であり冒険家でもある石川直樹。前作「NEW DIMENSION」での、フランス南部訪問をきっかけに撮影された本書は、世界の奇妙な住居群の写真集だ。

 なぜそんなところに、と、見ているこちらが悲鳴をあげたくなるような極地に、水の上に、弾劾絶壁の下に人が住んでおり、家々からは人間の匂いがぷんぷん感じ取れる。しかも限りなく動物に近い匂い。そんなふうに建てられた”人間の巣穴(住まい)”を眺めていると、一種異様な感動を覚える。

 科学技術や交通手段を得て、現代の私たちは不都合があれば土地を征服し、また、いとも簡単に捨ててきた。だが、世界に残る大自然と暮らし、未だ「人類の起源」という大きなぬくもりを直接肌で感じ生きる人々には、その考えはなないだろう。むしろ、「どのようにこの場で生き抜くか」という強い意志が、荒々しい木々の眺めや風に削られた岩を通して伝わってくる。

 それは「悲壮さ」や「我慢」、「あきらめ」ではない。人間が生きる上でどうしようもなく滲み出てしまうユーモラスな力。「何でも利用してしまえ!」というたくましい頭。

 その土地にぴったりの建築物を眺めていると、家が地面からはえているような気がしてくるが、本書では人間も地面からはえているのだ。土地に根ざすということは、きっとそういうことだし、「はえる」という字は「生きる」と同じで「生える」と書くのだから。

(青山ブックセンター六本木ヒルズ店 與畑 春花)

出版社:赤々舎
書名:『VERNACULAR』
著者:石川直樹
定価:8400円(税込み)

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