「つぐないって、なにをすることなのかな?」そう無邪気に聞かれたら、答えてやろう。
人に何かを失わせてしまったら、それを埋めてやらねばならない。それが「つぐない」である。
同じものを買って返すことを「弁償」という。だが相手にとっては「一度壊されたときのあのショックは忘れがたく残っている」かもしれない。
「胸の痛みを金で」とか「戦争被害を領土で」とかいうのを「賠償」という。でも「金をやるから悲しみに耐えてくれ」というのには、傷口を押さえて苦しんでいる者を三ツ星レストランに連れて行き、「おいしいんだからこれでチャラにしてくれ」と言っているような、ちぐはぐさを覚える人もいるだろう。
とくに、人の命が失われてしまった場合には。
美少女殺人事件の目撃者である4人の小学生。彼女たちは事件にともない、それぞれが受けた負い目や抱えた秘密を、大人になってつぐなおうとする。しかし、過去の「欠けてしまったもの」を今ふさごうとするとき、そこにはねじまがる運命、新たな死、残酷な結末が・・・。
少々ネタばらし的になるかもしれないが、東野圭吾の『聖女の救済』。あれと同じように、この『贖罪』というタイトルの本当の意味を知ったとき、読者は驚愕するだろう。
この作品は今のところ、わたしの今年度国内ミステリベスト3の中に入ると思う。
(青山ブックセンター六本木店 間室道子)
出版社:東京創元社書名:『贖罪』著者:湊かなえ定価:1470円(税込み)
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