本屋さんへ行こう!

書店員のオススメ読書日記

本文です
前の記事

Ol ミュージシャン・忌野清志郎が亡くなり、今、彼はたくさんのメディアにとりあげられている。

 雑誌で追悼特集が組まれ、絶版だった本が復刊し、あまりにあからさまな群がりぶりに、鼻白んでいる昔からのファンもいるだろう。

 でも、お金儲けの切実さをその皮肉を歌にすることが多かった彼。この状態をロックンロール天国でニヤニヤしながら見ているかもしれないし、あんがいテレているかもしれない。

 おびただしい「ありし日のキヨシロー」が巷にあふれる中、見るなら本書。
 この本の写真は、佐内正史が撮った。ここに写っているのは「ボス」でも「ロックンロールの王様」でもない、もっとむきだしの「本人」だ。

 ただの「プライベート写真」のばあい、その「スターなにがしの、プライベートショット」になりがちなのだけれど、佐内のこの写真には、もっと生々しい声がある。

 「カメラを見ているんだけど、視線を合わせようとはしない」という絶妙なあいまいさ。意地をはった子供のような肩や膝の線。はかなげで、かえってこちらから視線をそらしてしまいたくなる、くたびれた笑顔。

 キヨシローのラブソングがあまりに心にささり、大好きだからこそ耳をふさぎたくなった、あのかんじと、とても重なる。バラードだけでなく、彼の歌にはどんなに明るく、どんなに激しいものでも、どこか「いたましさ」がある。

 あなたの知らないキヨシローがここにいる。

(青山ブックセンター六本木店 間室道子)
   
出版社:太田出版
書名:『本人 vol.10』
定価:998円(税込み)

前の記事

当ブログの記事へリンクを張った方はトラックバックをどうぞ。ただし、当ブログの編集スタッフによって事前に確認した後で掲載します。基準は<トラックバックに関する編集方針>をお読み下さい。

売れ筋の本からマニアックな専門書まで、本のことを知り尽くしている書店員さんがオススメの本を紹介する読書日記。書評だけでなく、時には誰も知らない書店の裏話などが聞けることも!?読書好きな人必見のブログです。

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29