ミュージシャン・忌野清志郎が亡くなり、今、彼はたくさんのメディアにとりあげられている。
雑誌で追悼特集が組まれ、絶版だった本が復刊し、あまりにあからさまな群がりぶりに、鼻白んでいる昔からのファンもいるだろう。
でも、お金儲けの切実さをその皮肉を歌にすることが多かった彼。この状態をロックンロール天国でニヤニヤしながら見ているかもしれないし、あんがいテレているかもしれない。
おびただしい「ありし日のキヨシロー」が巷にあふれる中、見るなら本書。 この本の写真は、佐内正史が撮った。ここに写っているのは「ボス」でも「ロックンロールの王様」でもない、もっとむきだしの「本人」だ。
ただの「プライベート写真」のばあい、その「スターなにがしの、プライベートショット」になりがちなのだけれど、佐内のこの写真には、もっと生々しい声がある。
「カメラを見ているんだけど、視線を合わせようとはしない」という絶妙なあいまいさ。意地をはった子供のような肩や膝の線。はかなげで、かえってこちらから視線をそらしてしまいたくなる、くたびれた笑顔。
キヨシローのラブソングがあまりに心にささり、大好きだからこそ耳をふさぎたくなった、あのかんじと、とても重なる。バラードだけでなく、彼の歌にはどんなに明るく、どんなに激しいものでも、どこか「いたましさ」がある。
あなたの知らないキヨシローがここにいる。
(青山ブックセンター六本木店 間室道子) 出版社:太田出版書名:『本人 vol.10』定価:998円(税込み)
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