この本を見てまず「これでフェアが組めるな」と思いました。こういう本は書店員にとってありがたいんです。
読書の喜びの一つは、別々の興味から読んでいたはずの本に、思いがけず共通点が見つかり、シナプスが繋がったかのように自分の頭の中でそれぞれが繋がっていく瞬間にあると思います。そして批評こそ、そういうつながりを可視化してくれるものでしょう。
特集の「アーキテクチャ」とは建築、社会設計、コンピュータ・システムを意味する言葉。国家や資本家といったイメージしやすいものに変わって、現代の権力として機能しているシステムとされています。私個人は昨年話題になった濱野智史(彼はこの本の冒頭に収録されているシンポジウムにも参加しています)の『アーキテクチャの生態系』という本でこの言葉を意識するようになりました。
本書は雑誌のようなスタイルで編集されていますが、この最近無視できない「アーキテクチャ」という概念に各方面の知性を巻き込もうという力強いエネルギーを感じます。評論家、社会学者、建築家、法哲学者、そして小説家まで。中で紹介された本を集めるだけでも、広範で豊かなブックフェアが組めそうです。個人的にも新しい視点を強く印象付けられましたし、この本をきっかけに売場で本と本のシナプスをつなげていく作業には、書店員としての醍醐味も感じます。
(リブロ港北東急SC店 藤原美紗子)
出版社:日本放送出版協会書 名:思想地図vol.3 特集あ・アーキテクチャ著 者:東浩紀・北田暁大定 価:1,365円(税込み)
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