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書店員のオススメ読書日記

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Photo_4 素数とは、1とそれ自身でしか割り切ることのできない数のこと。本書は、自分たちを素数のようだと感じている少年と、少女の物語だ。

 数学の天才で自傷癖のあるマッティア。美しいものに対する目が人一倍開かれていて、自身は拒食症を抱えているアリーチェ。

 彼らはそれぞれ、過去にからだの一部がもぎとられるような喪失を体験しており、マッティアはその罪の意識に、アリーチェはその原因への憎しみのために、深く傷ついている。

 彼は世界を拒絶している。彼女は世界から拒絶されたと思い込んでいる。

 そんな二人が出会い、大人になってゆく。

 彼らを繋いでいるのは若者らしい恋の感情などではなく、痛みだ。本能的にお互いの傷を察し、それに共鳴している。それはどんなに危険で、またどんなに切実なことか――。読者は、はらはらしながら読み進むだろう。

 二人はなぐさめ合ったり寄りかかったりしない。心の傷の理由は何なのか、その深さはどれくらいなのか、さぐられるのは自分が一番耐えられないことだからだ。

 マッティアとアリーチェには、手をふれずにワルツを踊っているようなイメージがある。けっして熱く抱き合うことなく、しかし絶対に離れず、お互いを思い合う。なぜなら彼らは素数なのだから。独特で、孤立し、それゆえに輝く。

 この、繊細なレースを編み上げるが如き物語は、今年27歳になるイタリアの物理学者が書いた。

 ひとつが生まれ、つらなり、無限へと続く、美しいもの。数字と愛は、とてもよく似ている。

(青山ブックセンター六本木店 間室道子)

出版社:早川書房
書名:『素数たちの孤独』
著者:パオロ・ジョルダーノ
定価:1890円(税込み)

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  • 『素数たちの孤独』[日伊文化交流協会 から]
    このところ本や映画の紹介が続き、興味のない方にとってはちょっと退屈な記事になってしまっていますけれど、今日は本当にオススメの一冊なので、手にとっていただけると嬉しいです。またこの本をお読みになった方のトラックバックも受け付けております。...…続きを読む
  • 受信: 2009年08月27日 2時27分

売れ筋の本からマニアックな専門書まで、本のことを知り尽くしている書店員さんがオススメの本を紹介する読書日記。書評だけでなく、時には誰も知らない書店の裏話などが聞けることも!?読書好きな人必見のブログです。

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