友達は「世界が終わる話。めっちゃ暗いやん」と言う。確かに明るい物語とは思わない。しかし私はこれを“絶望の中の希望”を描いた小説だと感じた。
あと3年で小惑星が衝突して、地球は滅んでしまう。そういう世界で暮らす人々の物語。不安、恐れ、怒り、暴力、死…そんなものに囲まれている日々にハッピーな要素はあまり(というかほとんど)見当たらない。それでもその中にほんのわずかな希望、光、笑いを見出す人々がいる。
例えば、久しぶりの再会を果たした母娘の会話。「本当に久しぶりねえ。康子、元気にしてた?」「わたしは元気よ。お母さんは?」「元気よお。あと三年くらいは生きられそう」
または、友人同士の会話。「富士夫、最近、予定空いてるか?」「向こう三年間は」こういう自分の置かれているつらい状況をもジョークにしてしまう才能は、生きていくうえでとても貴重だと思う。
最後に、ハッとしたセリフをひとつ。「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」こんな言葉を説教臭くならずに、クールに出してくる伊坂幸太郎はやっぱりすごい。
(リブロ福岡西新店 奥原未樹子)
出版社:集英社書 名:終末のフール著 者:伊坂幸太郎定 価:660円(税込み)
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