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32280398 「小説フランス革命史」(集英社)を刊行中の、西洋歴史小説家・佐藤賢一さんが、「フランス革命史」の勢いもそのままに、手軽に楽しめる新書形態で、歴代フランス王朝史を描き出してくれました。

 西暦987年に現在のフランスにあたる地域の王に選出された”ユーグ・カぺー”。

 しかし、王とはいってもその勢力範囲はパリ近郊やオルレアン辺りという、フランス全体から見れば豆粒のような地域でしかなく、周囲は強大な勢力を持つ貴族達の領土に囲まれています。

 当時はイングランド王もフランス地域に領土を持っており、即位いきなり四面楚歌という状況。ここから直系・傍系のブルボン朝まで合わせて、800年に亘るフランス王の権威を築き上げた歴史とはどんなものだったのか?まずはユーグから始まる“カぺー朝”の300年と歴代王の治世が簡潔ながら、血沸き肉踊る筆致で描かれていきます。

 何しろフランス王には“ルイ”と“フィリップ”だけで30人。「昨日の主君は今日の敵」とばかりに離合集散する貴族・諸侯達も“シャンパーニュ伯何某”といった人々がしょっちゅう同じような名前で登場して仏王の味方になったり、イングランド王に臣従してみたり。

 そのイングランド王も、フランスにある領地の領主としてはフランス王に臣下の誓いを立てていたり、と真にややこしく、カタカナ名前が苦手な方には手に取りにくそうな中世フランス史ですが、西洋史を俯瞰し血肉にしている当代きっての西洋歴史作家の手により、新書らしく簡素で分かりやすく、しかも熱気を帯びた一大歴史叙事詩にまとめあげられています。

 「尊厳王」、「勇敢王」、中には「肥満王」などとおくり名された王達による“時間を超えた逆転劇”、史実物を読む醍醐味が存分に味わえる一冊です。

(羽田書店 安武祥吾)

出版社:講談社
書名:『カぺー朝~フランス王朝史1~』
著者:佐藤賢一
定価:777円(税込)

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