シンガポールでは日常的には英語を使うものの、そこは東南アジア、街中で漢字を目にすることは多い。そのため個人的に、漢字文化に興味を持っていたところ、良書を発見した。
白川静は、漢字の成り立ちと世界観を研究した学者として、漢字研究の第一人者と言われている。『字統』『字訓』『字通』といった代表作があるが、入門書的な書物は無く、どちらかと言うと難解なイメージがあった。この度、新書という読みやすい形で発行されたのが本書である。
漢字を、単なる道具としての文字として留めるのではなく、文字の歴史、形態そのものに意味があるという氏の研究が、古代の甲骨文、象形文字のイラストとともにわかり易く解説されている。漢字には、文字が生まれる以前の、ことばの時代の記憶があるという。
濃い内容ではあるが、著者の松岡正剛による分かりやすい語り口のおかげで、読み進めるのに苦労することは無い。むしろスラスラ読める。しかし何回でも読み返したい、そんな本である。
出版社:平凡社書名:白川静 漢字の世界観著者:松岡正剛定価:819円(税込み)
(紀伊國屋書店シンガポール本店 氏家康太)
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