声が聞こえる。海水浴場や、路地を走りまわる子どもたちの笑い声。飲み屋や食堂の客たちのざわめき。家族や友人たちの親密な語らい。写真集『日々常々』のモノクロ写真からは人々の声が聞こえてくる。一日一日の暮らしを精一杯生きている人々の声が。
写真家北島寛は1955年から1960年にかけ、福岡の街を歩き、そこに生きる人々と暮らしを撮り続けた。彼の写真は、昭和30年代という時代の「生活」や「風俗」を写し取った単なる記録ではなく、日々、人間が生きていく中で感じる「喜び」や「悲しみ」といった普遍的な感情が表現されている。
一枚一枚の写真を眺めながら、日本人はこんなにも「希望」に満ち満ちた表情をしていたのかという驚きを、私は覚えた。
私たちが忘れかけている「厳しくとも、希望を忘れない人間本来の強さ、明るさ」がこの写真集には確かにある。
北島寛の写真の魅力を十分に生かしたアートディレクションは雑誌『クウネル』などを手がける有山達也によるもの。
出版社:西日本新聞社
書名:日々常々
著者:北島寛
定価:2,300円(税込)
(ジュンク堂書店新潟店 澤山建史)
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