私は阪神タイガースのファンである。しかしファンになったのは、あの1985年の日本一を知らずにその後からで、暗黒の90年代を潜り抜けてきた人間の一人である。
したがって、昨季の様な順位(セリーグ四位)でも、微笑みながら見過ごす事ができる。かえって改装なったテーマパークの様な甲子園球場を見たり、戦力補強にお金をかけフロントが「来季は絶対優勝!」と言うと、いまだに違和感を覚える。あの頃は選手・フロントはともかく、ファンが「まともな野球」をタイガースに求めることは、皆無に近かったのだから。
1987年から2002年にかけてタイガースは、Aクラス(3位以内)1回、Bクラス15回の内最下位が10回という、薬にもしたくない、いや笑ってしまうばかりの惨状を呈した(その点横浜ベイスターズ、オリックスバファローズファンは幸せである)。その間、我々は何を楽しみに応援してきたのか?
和田豊の3割到達、坪井の新人王争い、遠山の松井秀喜に対してのキラー振り…。
本書の著者は、暗黒期のファンの小さな楽しみを、久々に思い起こさせてくれた。著者曰く「球速が最速138キロ」の小さくまとまった投手、ことごとく小粒な野手、移籍選手が甲子園の土を踏んだとたんに不振に陥る、トレードや解雇した選手が移籍先で活躍する、カネをほら穴に捨てているだけの外国人補強・・・。打つ手がことごとく裏目に出る。これも笑うしかないだろう。
しかし一方では二軍は強かった。生え抜きの一軍半の選手達、経験豊富なベテラン移籍の選手達によって、毎年優勝争いを繰り広げていた。選手育成が目的のファームで本末転倒というか、何と言うか。だが、現在我々は、それらの忌まわしい記憶もふたをせず、酒の肴に今でも楽しむことができる。もし暗黒時代が続いていたとしても、それは変わらないであろう。
全く感想を書いていないが、読者の妄想の枝葉を刺激してくれる本書の力は、例え様もなく大きい。また当時の選手達の弁は『元・阪神』(竹書房)で読むことができる。あの「新庄遅刻正座事件」の真相が、監督・藤田平から語られている。
出版社:大洋図書書 名:阪神タイガース暗黒のダメ虎史 著 者:山田隆道価 格:1,365円(税込)(大盛堂書店 山本亮)
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