ひどく落ち込んでいた時期があった。元気がない。やる気が出ない。なぜ生きているのかが分からない。読書量も減った。どんな本を読んでも、自分とは関係のない世界の、関係のない話だと感じた。
そんな中で唯一、熱心に読んだのが大島真寿美である。私の、今の、この気持ちを理解してくれるのはこの人しかいないと思った。
高3の菜生はある日ふと学校へ行かなくなってしまう。時を同じくして姉も出社拒否。そんな、世間とは隔絶した生活を送る姉妹の一ヶ月をえがいた本作。世の中の流れに乗れずにとまどっている、苦しんでいる、ポカンとしている私にそっと寄り添ってくれた。
例えばこんな箇所。“窓の外の中庭では、あわただしく人が行き交っていて、(中略)人の動き、流れ、ひいては時間そのものが一緒くたに見ることが出来て、自分がその世界から大きく隔たった場所にぽつんと流されてきているように感じられた。”
共感したことを伝えようと、作者に手紙を書いたことがあった。しかし投函しなかった。そしてしばらくして私は回復した。
(リブロ福岡西新店 奥原美樹子)
出版社:ポプラ社書 名:羽の音著 者:大島真寿美定 価:525円(税込み)
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