先日、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」を聴いていたら、初代ウルトラマンを演じていた著者がゲスト出演されていた。
私も幼少時再放送にはまっていたクチなので、興味深く聴き続けていると、疲労や役者としての悩みから、放映途中でウルトラマンを辞める事を決心した時があったという。
ラジオの語り口や本書を読む限り、著者は無骨である。融通が利かなそうである。真面目すぎる様にも思われる。だが、辞める事を伝えにスタジオへ向かうバスの車中、彼はウルトラマンの真似を、熱心に眼を輝かせながら遊ぶ少年達に出会う。一人だけ頑張っている、悩んでいると考えているのは大きな思い上がり、他の何百人の頑張りによって良い作品が創られていると思い直すと、また撮影に向かったという。今でもその少年達のことは、決して忘れていないそうだ。
筆者は映画全盛時に東宝に入社し、メロドラマの主役を目指していたが、ほどなく映画界が斜陽期を迎え、長身を生かしてウルトラマンを演じる事になる。文字通り『顔』が隠れてしまうマスクを着ける葛藤は、他人には計り知れないものがあるだろうが、理解あるスタッフや熱気に支えられながら、ウルトラマンは全国の子供達から、熱い支持を集めていく。そして素顔の著者も知られていく様になるが、スタッフへどうして自分にこんなに良くしてくれるのかと、尋ねると、汗をかきながらも文句を言わず、黙々と仕事をする姿に打たれたからだという。どの世界にも通じる事であると信じたい。
ゲストコーナーの後、著者が最も世話になった人物、石井伊吉ことアラシ隊員、毒蝮三太夫氏のコーナーにも出演されていた。マム氏は著者に「いい老け方をしたなあ」と言っていた(伊達に、いつも『オイコノババア』と仰られている訳ではない)。本当の仲間達である。
出版社:小学館書 名:ウルトラマンになった男著 者:古谷 敏価 格:1,785円(税込)(大盛堂書店 山本亮)
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