勝新に触れて兄・若山富三郎を挙げなくては、片手落ち以上の行為である。
山城新伍は良い意味で口先巧く、怪しげ(昔観ていたフジテレビ系の「新伍・伸介の危ない話」のうさんくささ!)なのが何とも魅力な人であったけれど、この兄弟以外の誰にも影響は受けていないとする彼この一冊、文庫版として再度世に問うた吉田豪や、特に浅草キッドの水道橋博士は、「今まで読んだタレント本の中でベスト」まで言い切っている。
駆け出しの俳優時代からこの兄弟に付き合っていた山城は、やがて「人生をこの二人に乗っ取られる」と感じてしまうが、そう書く時点で乗っ取られてしまっていたのに、本人も気づいてしまう。この個性の強い兄弟に挟まれ、山城は二人の心の奥に迫っていく。そこで見たものは、尊敬し合いながらも、屈折した肉親愛。付かず離れずというか、傍から見ていると素っ気無いが、底に力強い流れを感じられるのだ。これらがこの兄弟を育んだといっても過言ではないだろう。
前回「天才 勝新太郎」を読んで、彼らの事は少し分かった様な感じがしたが、本書を読んだ後、また霧の向こうに隠れてしまった気がする。きまぐれな神様達は、なかなか自分みたいな凡人の前には常に、姿を現してはくれない。
出版社:広済堂出版 書 名:おこりんぼさびしんぼ著 者:山城新伍価 格:650円(税込)(大盛堂書店 山本亮)
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