河村常雄の劇場見聞録

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Photo  よみうりカルチャーは6月23日、東京・神楽坂の矢来能楽堂で開かれる「のうのう能+(プラス)」公演で、主宰者の観世喜正さんをゲスト講師に迎え観劇入門講座を開きます。矢来能楽堂は神楽坂のにぎわいから少し離れた静かな住宅街にある、木造の趣のある建物で、昨年、国の登録有形文化財に認定されました。矢来観世家当主・観世喜之さんの長男である喜正さんにインタビューしました。

――「のうのう能+」とはどういう公演ですか。
 「能というのは難しいものではないか、と思われるお客さまに向けての分かりやすい公演が『のうのう能』です。演目も分かりやすく、長くないものを選びます。演目についての

テキストを作り、公演前にあらすじや見どころを解説させていただいています。これで理解が進むと思います。しかし、観世流のレパートリーは200曲あまりあり、その中に少し難し

くても是非見てもらいたいものがあります。そういう作品を採りあげる公演を+(プラス)と呼ばせていただいています」
――それでは、入門より少し難しいのですか。
 「完全な入門編ではありませんが、今回見ていただく『屋島』という演目が源義経が主人公になっている曲であることと、屋島の合戦というのは有名なものですから、入門の『の

うのう能』で採りあげてもおかしくないと思っています。『屋島』が少し長いので+(プラス)で採りあげることにしたのです。難解ではなく、だれでも知っている義経の物語なので、お勧めしたいと思います」
――義経の戦いのお話は興味深いですね。
 「『のうのう能』では出演者が解説をしますが、+(プラス)ということで解説に厚みを持たせるために、能の研究者の小林健二先生をお招きして公演前にお話しを伺います。歴

史的背景や作者の世阿弥のこともお話していただきますので、カルチャーとしてはうってつけではないかと思います」
――「屋島」のシテ(主役)は観世銕之丞さんですね。
 「観世流のトップは観世宗家ですが、二番手が観世銕之丞家。その九代目当主です。昨年、紫綬褒章を受けられた評価の高い方です。ちなみに、観世喜之家は明治時代に観世銕之丞家から分家した家です」
――「屋島」の魅力はどういうところにありますか。
 「世阿弥の作品であるということと、屋島の合戦にはいろんな局面があります。悪七兵衛景清の錣(しころ)引き、義経の弓流し、佐藤継信の戦死、那須与一の扇の的の話などいろいろなトピックを世阿弥がうまく織り込みながら合戦を回想する形で進みます。世阿弥が複式夢幻能という、過去を回想しながらストーリーを展開していく技法を開発しましたが、それをよく具現化した作品です。そして義経が主人公ですから、世代を超えて楽しんでいただける活劇と思います」
――喜正さんは出演しますか。
 「私は地頭(じがしら)、地謡のリーダーとして出演させていただきます。そして私はこの会の全体をコーディネートさせていただいています」
――のうのう能+の終演後に観劇入門講座として喜正さんのお話を伺いますが。
 「能全般についてのお話をさせていただいた後、『屋島』の謡の一部を抜き出して、皆さまに謡っていただきます。能面や能装束についてのお話も舞台上からさせていただきます。質問にもお答えさせていただきます」
――ありがとうございました。
(写真は観世喜正)
     ◆
これからの観劇入門講座

<国立劇場歌舞伎公演> 
日時:4月10日(火)午後0時30分開演(解説・河村、午前11

時30分開始)
会場:東京・三宅坂、国立劇場
演目:「絵本合法衢」
講師:片岡 孝太郎 (終演後トーク)
受講料:会員9,200円 一般9,700円(一等A席代含む)

<のうのう能+(プラス)公演> 
日時:6月23日(土)午後2時
会場:東京・神楽坂、矢来能楽堂
演目:「屋島」(公演前に研究家の作品解説)
講師:観世 喜正(終演後,謡体験あり)
受講料:会員4,500円 一般5,000円(自由席代含む)

問い合わせは、事業本部(℡03・3642・4301)
 

 

Photo  よみうりカルチャーでは4月10日、東京・国立劇場公演「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」で片岡孝太郎さんをゲスト講師に招き、観劇入門講座を開きます。講座に先立ち、孝太郎さんにインタビューしました。

――この作品は鶴屋南北の敵射ち物の傑作。昨年3月に国立劇場で上演され、お父さんの仁左衛門さんがお家横領を企む大学之助と悪事を重ねる太平次の悪役二役を演じ、孝太郎さんが大学之助に売られるかわいそうな道具屋女房お亀でした。好評だったのですが、東日本大震災のために途中で公演中止となった。その再演ですね。
 「夜の公演の日で、ちょうど支度をしているときに地震が起きました。私は神戸の地震も大阪の中座に出ていて経験しているんです。今回も驚きましたけれど、国立劇場がもし潰れるなら世の中の建物も潰れると思い、冷静に対応できました。でもまさか東北があのような被害になっているとは。すごくショックでした。次の日に国立劇場で募金箱を出していたんですが、国立劇場にお願いして私と愛之助さんと吉弥さん、梅枝さんで募金箱の前に立ちました」
――その後に公演中止になったのですね。作品についてお話してください。
 「スペクタクルで楽しい芝居です。歌舞伎を見るのが初めての方でも十分楽しめると思います」
――孝太郎さんの演じるお亀は。
 「昨年が2度目でした。その前に芝雀兄さんが演じたお役で、兄さんに伺いながら話をまとめていきました。仇(大学之助)が一目ぼれするようないい女でなければいけません。それも内に秘めた美しさでなければと思っています」
――ありがとうございました。
(写真は片岡孝太郎)
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これからの観劇入門講座
<国立劇場歌舞伎公演> 
日時:4月10日(火)午後0時30分開演(午前11時30分から解説・河村)
会場:東京・三宅坂、国立劇場
演目:「絵本合法衢」
講師:歌舞伎俳優 片岡 孝太郎 (終演後トーク)
受講料:会員9,200円 一般9,700円(一等A席代含む)

<のうのう能+(プラス)公演> 
日時:6月23日(土)午後2時
会場:東京・神楽坂、矢来能楽堂
演目:「屋島」(シテ・観世銕之丞、公演前に研究家の作品解説)
講師:能楽師 観世 喜正(終演後に能のお話,謡体験あり)
受講料:会員4,500円 一般5,000円(自由席代含む)

問い合わせは、事業本部(℡03・3642・4301)
 

 日本舞踊振興財団は3月上旬、江戸時代以来、わが国と縁の深いオランダに大型舞踊団を派遣する。同財団の大型海外公演は平成6年に始まり、今回で7回目。派遣先は米、独、仏など6か国となる。バブル崩壊後、これほど頻繁に海外公演を行う団体は珍しい。
1月に開かれた記者会見で概要を発表した。一昨年、駐オランダ日本大使から日本の伝統文化を紹介して欲しいと要請されたことから企画は始まったという。演目は、道葉荻作、花柳寿美振り付け、吾妻寛彌ら出演の「扇桜」、花柳寿美、西川箕乃助出演の「粟餅」、西川扇藏振り付け・出演の「関寺小町」で、日本を紹介するにふさわしい構成といえよう。豊竹咲大夫、鶴澤燕三の文楽座も含めた総勢40数名の大所帯が、デン・ハーグ、アムステルダム、アルクマールの3都市で4公演する予定だ。
出演するだけでなく財団理事長として派遣団を統率する西川流宗家・西川扇藏さんは今年84歳になるが、かくしゃくたるもの。日本舞踊の海外普及が主目的の公演だが、「着物という日本独自の衣裳を着た芸を通して、日本が穏やかで平和な民族であることを訴えたい」と一段高い目標を披露した。
ならば、もうひとつ新たな目標を。日本は昨年の東日本大震災でヨーロッパからも多くの支援を受けた。しかし、そのヨーロッパは経済危機の真っただ中にある。今回の公演が彼の地の人々を励ますことができれば、と願う。(伝統文化新聞にも掲載されます)

 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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