河村常雄の劇場見聞録

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 新しい扉開く石松
4103 <聞>歌舞伎の市川右近が、女優も出演する一般演劇「極付 森の石松」(作・演出=岡本さとる)で各地を巡演、おなじみの石松を愛嬌たっぷりに好演した。東京・北千住の1010劇場楽屋でインタビュー。
――右近さんというと、師匠の猿之助さんのように二枚目、立役の人。珍しい三枚目はいかかでした。
 「師匠に、あなたは愛嬌が少ないと言われ続けで、30数年。『西遊記』で孫悟空をやらせていただいたとき、評判がよくてよかったねと言われ、そのあたりからでしょうか、愛嬌の要る役をいろいろやらせていただくようになりました。やらせていただいている間に自分の中にもそういう面があるのだなあと思いはじめ、新たな扉が開いていくような気がしています」
――楽しそうに演じていましたが。
「こういう役は、お客さんとコミニュケーションをとるという点で勉強になります。巧くとれたときはうれしいですね」
――歌舞伎以外の芝居に出て何を感じますか。
 「面白いですね。歌舞伎は型物ですから枠組みがしっかりしている。ただ、枠組みの中で新たな自分の可能性を見出していくのは難しく、そこから先に進めないうちに1か月の公演が終わってしまうということも多いのです。ところが、こういうお芝居ですと、すぐにこれまで気づかなかった自分の一面に出会います。それを歌舞伎の型物の世界に持って帰り、生かすことができるのではないかと思っています」

 ケレンの妙味、見どころ満載
――来年3月は、いよいよ新橋演舞場で「獨道中五十三驛」。家宝を追って、京から江戸へのスペクタクル。右近さんは15役の大奮闘ですね。
 「この作品は、猿之助十八番の復活通し狂言の中でもリクエストが強く、再演も多い。私は、昨年6月に名古屋の中日劇場でやらせていただきました。師匠のなさっていた化け猫や12役早替りもありますし、大滝の立ち回りも本水を使います。猫の宙乗りもあり。どこを切っても見どころ満載です。ふんだんに歌舞伎のケレンの妙味が詰まっていますので、お客様にお楽しみいただけると思います」
――15役早替りへの取り組み方は。
 「鮮やかに替る中で、どの役にもどこか右近を残しながら替っていければと思います」
――今回の猿之助一座若手による新橋演舞場公演に取り組む決意は。
 「古典の歌舞伎を新橋演舞場で、若手のみで1か月やらせていただけるというのは初めてで、大変うれしいし、ありがたい。是が非でもたくさんのお客様に見ていただきたい。楽しんでいただきたい。皆、張り切っています」
――期待しています。ありがとうございました。
 (写真は、市川右近)
    ◆
 読売・日本テレビ文化センターでは、市川右近さんをゲスト講師に招き、2009年3月9日(月)に新橋演舞場で観劇入門講座を開きます。30分ほどのミニ講座で、芝居を観劇後、右近さんから演目や歌舞伎についてのお話を聞きます。受講料はチケット代込み、昼食付で、会員9,500円、一般10,000円。
 なお、2009年1月は、坂東三津五郎さんをゲスト講師に迎えた講座を、20日(火)に国立劇場の歌舞伎公演で開きます。
申込みは電話93・3642・4301。

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 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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