河村常雄の劇場見聞録

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歌うことで女優を感じる
Photo <見>読売・日本テレビ文化センターの観劇入門講座が2010年3月12日、東京・新橋演舞場公演「三婆」で観劇入門講座を開き、ゲスト講師に水谷八重子さんを迎える。劇団新派を牽引する水谷さんにインタビューした。

――今年9月の新橋演舞場「おんなの家」は、新派には珍しい喜劇でした。次の舞台は。
 「11月19日にグランドプリンスホテル赤坂で『歌で演じるディナーショー』に出演します」
――八重子さんと言えば新派のリーダー、お芝居の人と思う人も多いかもしれませんが、かつては日劇ウエスタンカーニバルにも出演したジャズ歌手ですね。
 「歌を歌うと女優だということをものすごく感じます。歌詞が言っている気持ちを何とか伝えたいと思いますが、芝居でしたら自分の好きなだけ間をとったり、一気に言ってしまったり自由にできますけれど、歌は譜面に決められた小節の中に入っていきます。狭められた中での表現ですので、すごく挑戦したい気がします。歌うことは怖いのですが、面白いですね」

――歌うことはずっと続いているのですか。
 「水谷八重子を襲名(平成7年)する前の年に最後のクリスマスだな、このままでいたくないと思って強引にディナーショーを開きました。ドラムのジョージ川口さんが参加してくださった。それ以来10何年を経て、3年前から歌い始めました。秋から始めましたが、なぜ秋かといいますと、お客さまが来てくださるかどうか自信がなくて、ホージョレーヌーボー飲み放題をひとつの売り物にしようと思ったのです。一番おいしいと思っているボージョレーで、それも樽を開けて飲みます。ビンに入っているのとはまた違います。今年も飲んでいただきますが、ブドウの出来がよく大変おいしいそうです」

――歌う曲は決まりましたか。
 「はい、20曲選びました。今、私が10代の娘を演じようと思っても無理を感じてしまいます。でも歌でたどると女の昔半生を表せます、娘っこ、女ざかり、失恋、喪失。劇画の『ハイカラさんが通る』を最初に舞台化したのは新派で、主題歌もレコーディングしました。そんなのも歌ってみたいなと思います。もう芝居では出来ませんから。『ウエストサイド・ストーリー』の『アイ・フィールプリティ』も。そしてジジ・ジャンメールの『セックス・マッド』、きわどい歌です。昔、直訳で歌い、放送禁止になりました。『ラブミ-・トゥナイト』、そして『明治一代女』、『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』」

――英語のタイトルも滑らかに出ますね。英語で歌う曲もありますか。
 「今回は、原語で歌わないという越路吹雪さんの教えを守ります。日本人だから日本語でと。かつては、英語で歌ったほうが.うまく聞えると思って、教えを守らなかったのですけれど、今回は全部日本語で歌います」

――ほかにも盛りだくさんの曲を楽しむわけですが、締めくくりは。
 「最後にさよならの曲が続くので、どうしてもグッドバイを言いたい。ベニーグッドマンの『グッドバイ』という曲をローズマリー・クルーニーが歌っています。それを岩谷時子先生が日本語の歌詞にしています。この曲でスペシャルゲストのクラリネット、北村英治さんを迎えて、『キャバレー』。人生は祭りだ、短い人生を思いきって楽しもうという、なかにし礼さんが私に書いてくださった訳詞で歌います」

――女性の半生がつづられていますね。
 「1曲の中でそれを謳うのではなく、全曲を通して女を演じられたら。ちょっと欲張りなチャレンジです」
〈問い合わせは、電話03・6427・1371〉

     ◆
●今後の観劇入門講座の予定
<新国立劇場バレエ公演>
日時:12月25日(金)午後2時
会場:東京・初台、新国立劇場
演目:「くるみ割り人形」
講師:本島 美和(金平糖の精役)
受講料:10,500円(会員)、11,000円(一般)(S席観劇料含む、4歳以上、中学生以下の割引有)
<新国立劇場バレエ公演>
日時:2010年1月22日(金)午後1時
会場:東京・初台、新国立劇場
演目:「白鳥の湖」
講師:牧阿佐美芸術監督(文化功労者)
受講料:10,500円(会員)、11,000円(一般)(S席観劇料含む、4歳以上、中学生以下の割引有)

<国立劇場歌舞伎公演>
日時:1月12日(火)正午
会場:東京・三宅坂、国立劇場大劇場
演目:「旭輝黄金鯱」
講師:中村 時蔵
受講料:会員9,200円、一般9,700円(1等A席観劇料含む)
 <国立劇場文楽公演>
日時:2月15日(月)午前10時
会場:東京・三宅坂、国立劇場小劇場
演目:未定
講師:人形遣い
受講料:会員5,700円、一般6,200円

<新派公演>
日時:3月12日(金)午前11時30分
会場:東京・新橋演舞場
演目「三婆」
講師:水谷 八重子
受講流:会員9,000円、一般9,500円(一等席代、昼食代含む)

 問い合わせは、センター本部(℡03・3642・4301)

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 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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