河村常雄の劇場見聞録

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民藝「神戸北ホテル」

2009年12月16日

Photo <見>昭和戦争下の様々な人物に光を当てる小幡欣治の戦争物の最新作。安ホテルの雑多な住民をにぎやかに描きながら、静かに反戦を訴えている。丹野郁弓演出。
 開戦の年、自作の川柳が治安維持法に触れ検挙された歯科医師・仁野六輔(西川明)は、妻子を東京に残し神戸の病院に勤務する。居と定めたのは闇屋や行き場のない外国人の住む安ホテルだが、素人楽団もあり和気あいあいの雰囲気。そこへ、別れた看護師・大関うらら(奈良岡朋子)が追いかけてくる。
 奈良岡がこれまでにない珍しい役で奮闘している。役名がすでにそれを表しているが、あっけらかんとして太っ腹で、男を追いかけ、時に迫る。理性的、優等生的な持ち味をここでは捨て、コミカルでワイルドな一面を掘り起こしている。
 結局、うららは従軍看護婦として召集されるが、卑怯な抜け道を断り、堂々と戦地に赴く。
大ベテランにして新境地を開いた。
 西川は優柔不断な男を無理なく演じている。ほかに箕浦康子、三浦威、稲垣隆史らが個性をはっきして好演。
ソシアルダンスでうららを送り出すラストは、港町神戸らしく洒落ている。
10日所見。
――20日まで三越劇場。
(写真は奈良岡朋子)
 

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 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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