河村常雄の劇場見聞録

本文です
前の記事

<見>劇団俳優座がロシアの劇作家マキシム・ゴーリキーの「どん底」を安川修一の翻案・演出で上演した。時と場所を明治維新の東京に移し、社会の底辺にうごめく人々を生々しく描いている。
 感心したのはベテラン中野誠也の好演である。イカサマ賭博で、かろうじてその日を暮らしている老いた遊び人である。真面目な生活から転落、牢暮らしも経験した。中野は、辛酸をなめた上での独自の悟りの境地を軽くなく重くもなく開陳する。口跡が悪そうで、意外に心地よいせりふ回し。説得力がある。役者の存在感もそれに寄与している。
 大器晩成とでもいおうか。これから目の離せない俳優だ。
8日所見。
――サザンシアターで17日に終了。

前の記事

 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29