河村常雄の劇場見聞録

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新橋演舞場「飛龍伝2010ラストプリンセス」
<見>先月、コクーンの寺山修司作、蜷川幸雄演出「血は立ったまま眠っている」(2月16日まで)で安保闘争の象徴のような歌「インター」を聞いたと思ったら、今月の新橋演舞場では学生運動を題材にした、つかこうへい作・演出の「飛龍伝」。偶然かどうか分からないが、今年は60年安保からちょうど50年、70年安保から40年の年である。
 学生運動の女性活動家・神林美智子(黒木メイサ)と敵対する機動隊隊長・山崎一平(徳重聡)の残酷な恋を描く「飛龍伝」の初演は1973年。37年前の作品である。「ノンポリ」だったとはいえ、その時代を通過した筆者には胸の熱くなる素材。しかし、客席を埋める安保後に生まれたであろう若い観客の心もとらえているようだ。
 差別的表現をものともせぬ毒の効いたせりふ、昨今の政治を風刺したギャグで引っ張っていく「ロミオとジュリエット」的物語として楽しませている。
改訂を重ねながら若い世代の古典となりつつあるといえよう。
 とにかく、この作品が商業演劇のひとつの牙城である演舞場で成立するようになったことに感慨深いものがある。
 ヒロイン美智子をこれまで何人もの人気女優が演じてきたが、今回の黒木も硬質な演技が役に合い好感が持てる。明治座や日生劇場でも堂々と主役を務めているが、大劇場の俳優地図も変わりつつある。
5日所見。
――21日まで。

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 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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