河村常雄の劇場見聞録

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 曇り空の正月2日、東京・浅草公会堂前で浅草歌舞伎の初日を祝う鏡開きが行われた。市川亀治郎さんや片岡愛之助さんら出演者が快活に時にユーモラスに挨拶、鏡開きの後、詰めかけた多数のファンに酒をふるまった。
 浅草歌舞伎は昭和55年に初春花形歌舞伎として同公会堂で始まった。幕末に栄えた芝居町・猿若町にほど近い会場で初芝居を楽しめることから正月の風物詩として定着している。また、若手修練道場として機能してきたのも事実だ。
 これまでにほとんどの役者が青春時代にここで大役に挑み、成長して巣立っていったが、今回は特に世代交代の目立つ、節目の公演といえる。6月に新橋演舞場で四代目市川猿之助を襲名する亀治郎さんは、もちろん亀治郎としては最後の出演であり、来年正月は大阪・松竹座での襲名公演のため出演しないという。浅草卒業の可能性が高い。その一方で、中村歌昇、坂東巳之助、中村壱太郎、中村種之助、中村米吉、中村隼人さんら平成生まれのフレッシュな面々が大挙出演する。その多くは浅草初参加だそうだ。
 昨年は3月の東日本大震災が日本を震撼させた。歌舞伎界も中村富十郎、中村芝翫さんの二人の人間国宝、片岡芦燕、岩井半四郎さんのベテランを失った。その痛手を浅草歌舞伎の若手のエネルギーで吹き飛ばしてほしい。鏡開きが終わり、舞台の始まるころには、陽もさしてきた。
(伝統文化新聞にも掲載)
 

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 <見>歌舞伎や能楽、文楽、邦楽、舞踊、そして新劇、ミュージカルなどあらゆる分野の劇場公演の中から、「面白い!」と思ったものを紹介します。従って、褒め上げる記事ばかりです。 <聞>出来るだけ、出演者やスタッフに「面白い!」わけを聞き、紹介します。

河村 常雄

 1973年入社。水戸支局、整理部(現・編成部)の後、学生時代より歌舞伎に興味を持っていたことから芸能部(現・文化部)に移る。演劇担当、デスクを経て、専門委員。この間、文化庁芸術祭・芸術選奨の演劇部門審査委員、鶴屋南北戯曲賞選考委員などを歴任。現在、読売日本テレビ文化センター勤務。著書に「かぶき立ち見席」(演劇出版社)。

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